家族介護者から学ぶ①
2023年10月10日
医師の中村です。 家族介護者のケアからは学ぶことが多いのも、在宅医療の魅力の一つです。 私の経験した事例を紹介します。 80歳代男性、多系統萎縮症の患者さま。 嚥下障害あり、CVポート造設し、中心静脈栄養を行っていました。 妻は食べてもらいたいという希望を持っていましたが、 私は「経口摂取は無理です」と説明していました。 妻は「何とか味わってもらいたい」と、 鰹節をミキサーにかけパウダー状にしたものを、口につけてあげていました。 この患者さん、気管切開をしていませんでしたが、 同じ疾患の他の患者さんと比べて、誤嚥性肺炎が少なかったのです。 鰹節パウダーを味わってもらった後に、妻が熱心に口腔ケアを 行っていたことに気づきました。 おそらく、鰹節パウダーで味わってもらったあとに 口腔ケアを行うことで、口腔ケアの頻度が増え、 口腔内の環境が良くなり、結果的に誤嚥性肺炎が減ったのだと考えました。