おはようございます。医師の中村です。
12月4日はペシャワール会の中村哲医師が亡くなられた日です。
2019年12月4日、中村哲医師はアフガニスタンで何者かに銃撃され命を落とされました。
今日は中村哲医師の活動と、著書の中の言葉を紹介したいと思います。
ペシャワール会は、もともと医療活動を行う団体でしたが、
病気の治療を行うだけでは、アフガニスタンの人たちが生きることができる環境を作ることができませんでした。
そこで、中村哲医師が行ったことは、飲料水の不足している村々での井戸掘りでした。
井戸掘りも、現地で調達しうる技術を用い、日本の江戸時代の工法を応用して、
用水路を造ったといいます。
最新の工作機器を用いて井戸を掘れば、確かに早く井戸は掘れます。
ところが、最新の機械が壊れてしまうと、現地では修理ができず使えなくなってしまう(大澤 2011:271-4)。
医療活動を行う団体であれば、医療活動だけを行うのが普通だと思います。
ところが中村哲医師は、アフガニスタンの人たちが本当に必要としていることは何かを考え、
医療活動とは何の関係もなさそうな、井戸掘りをはじめました。
医療活動を行う目的は、アフガニスタンの人たちが生きられるようにすることであって、
医療活動を提供すること自体が目的ではない。
中村哲医師は、医療活動という枠にとらわれず、真の目的に忠実であったといえると思います。
最後に、中村哲医師の著書「天、共に在り」の中から、印象的な言葉を紹介します。
「そして、『信頼』は一朝にして築かれるものではない。
利害を超え、忍耐を重ね、裏切られても裏切り返さない
誠実さこそが、人々の心に触れる。
それは、武力以上に強固な安全を提供してくれ、人々を動かすことができる。」
大澤真幸(2011)『社会は絶えず夢を見ている』朝日出版社
中村哲(2013)『天、共に在り―アフガニスタン三十年の闘い』NHK出版