楕円形のこころ
2022年8月21日
おはようございます。医師の中村です。今日は、「がん哲学外来」をされている樋野先生の本「楕円形のこころ」を紹介します。以前、学会で講演を拝聴したことがあり、先生の著書「楕円形のこころ」を購入しました。
楕円形にはふたつの中心があります。昔、数学で習ったような気がします。「真理はひとつの考えから成り立つものではなく、ふたつの考えが均衡のとれたときに生まれるもの」(p18)と説いておられます。相異なる二つがそれぞれ存在を認め合い、バランスよく相補いながら発展していく、その寛容で豊かなこころを、「楕円形のこころ」と表現されています。
夫婦で長く一緒に暮らしていると似てくるところもありますが、違う部分もたくさんあります。長年一緒に働いていているスタッフでも、考えが違うこともあります。樋野先生は、違うからこそ、いいんだと言ってくれています。講演でも「楕円形はいいよ、安定している。同心円は駄目だ、安定しない。」とお話しされていました。
止める人がいないような、同心円の組織は、駄目な方向に行ってしまうと、どこまでも転がっていきそうです。ブレーキの壊れた車のようなものです。
考えの違う人たちが集い、お互いの考えを認め合い、相補い合いながら発展させていく。当法人も、そんな「楕円形のこころ」をもった組織を目指したいと考えています。
樋野興夫 2018年「楕円形のこころ」春秋社
図はWeblio辞書から引用